【感想】⑦シンデレラの城は知っている
※ねたばれあります。
KZ事件ノートシリーズ第7作目。
大人の夏休みの課題その2。
「シンデレラ特急は知っている」の続き。
表紙絵の若武の服と黒木君の服が似ている気がします。
黒木君はベージュのシャツの下にボーダーのTシャツ(たぶん)を着ていて、若武もベージュのシャツの下に無地のTシャツ(たぶん)を着ているのですが、よく見ると若武の無地のTシャツの裾からボーダーが見えています。
ボーダーの色味も似ています。同じではないんだけれども。
こちらでも上杉君のアーヤ呼びは止まりません。
「『アーヤ、これは訳さなくていいから。』
そう言って上杉君は、私たちを見まわした。」(P.61)
これ以降はこの作品の中ではアーヤって呼ぶことはなくて、立花って言ってます。
天使(ひゃー!)とも呼んでます・・・
まさかの砂原鉄ちゃん設定。
なんで若武は、砂原が鉄道好きだってこと知ってたのかなあ。
「『おい砂原、俺は若武だ。名前くらい知ってるだろ。』」(P.126)
って言うぐらい砂原には知られていないのに、若武は砂原の鉄道好きを知っている・・・?
卵ハンバーグ読み直さないといけませんね。
私、砂原がとっても苦手なので、彼が出てくる作品はなかなか気が進まず・・・
急に死を覚悟することになるのが、もう、藤本ひとみ先生ワールド!といったかんじ。
じゃんけんに負けて機関車を止めることになった小塚君。これはほぼ死を意味します。
若武は他メンバーを不意打ちしてその役目を代わります。
「若武はさっさと連結部を渡り、機関車の中に飛びこんでいったかと思うと、すぐ小塚君を肩にかついで姿を見せた。
(中略)
その2人に向かって、若武が小塚君を投げつけたんだ。」(P.159)
「シンデレラ特急は知っている」の中で、若武は探偵チームKZの中でいちばんの低身長になったと書いてあります。
しかも小塚君はぽっちゃり設定。
そんな小塚君をかついだり投げたりできるなんて、若武、力持ち・・・
「黒木君が笑って、若武の頭に手をのせ、髪をかきまわす。」(P.216)
「黒木君が、片手をポンと若武の頭の上に置き、くせのない髪をくちゃっとかきまぜた。」(P.308)
黒木君が若武の頭に手をのせることが多いです。特にシンデレラ特急とシンデレラの城には多かった気がします。
数えればよかったな。いつか補筆しようかな。
黒木君、お兄さんっぽいですよね。
実生活では若武もお兄ちゃんなはずなんだけど。
「これ、塩素だよね。
なんだろ。
漬物でも、つけてたとか?」(P.328)
私、浅漬けとピクルスしかつけないのでわからないんですけど。
漬物つけるときって塩素使うものなんですか?
ってゆうかなんでアーヤそんなこと知ってるの・・・
15章では、いきなりアーヤと上杉君が甘々~ になります。
伏線もなかったように思うのですが。むしろこれが伏線なのか。
それともアーヤ呼びが伏線?
お互い「天使」とか言っちゃったりして。なんなのー!?
「閉じているまぶたを、長いまつげがふちどっていて、まるで天使の羽みたい。」(P.362)
上杉君って、一重まぶただったと思うんですけど、一重の人って、まつげ長くてもわからないんですよ、通常。
まぶたかぶっちゃうので。
上杉君ははれぼったい系の一重ではなさそうなので比較的わかりやすいのかもしれませんが、それにしても一重でありながらまつげ長いってわかるってことは、かなり長いはずです(だから何)。
「幸福の王子」が出てきますが、はじめ「星の王子さま」かと思ってました・・・
サン・テグジュペリじゃなくて、オスカー・ワイルドのほうですね。
英語とフランス語で覚えているというアーヤ。
フランス語バージョンは今回フランス語を学んでから覚えたのでしょうか。そんな時間あったとは思えないですが。
それともその前から、フランス語は知らないけどこれだけは覚えてたとか?考えにくい・・・
「『パジャマ、着てないの。』
私が聞くと、上杉君はちょっと笑った。
『いつも着ないし。』」(P.372)
なにこの会話ーーー!
じゃあ「シンデレラ特急は知っている」で白いシルクのパジャマ着てたのは、部屋から出るから着たってこと?
裸で寝るなんて、黒木君みたい!
「『天使、俺が寝ちゃっても、ここにいてよ。』
あまりしゃべらせたら、いけないよね、きっと。
『ずっと、そばにいてほしいんだ。』」(P.372)
どーしちゃったの上杉君!熱で弱ってるの?
そしてそんな言葉をあっさりスルーして寝ている上杉君を置いて部屋を出るアーヤなのでした・・・
回復してからも
「『お見舞い、ありがと、天使さん。』」(P.662)
とか言っちゃって、どうしちゃったのかしら。かわいい上杉君。
高熱で人格変わっちゃったのかしら。
体弱いならちゃんとパジャマ着て寝たほうが良いんじゃないかと思うけど、むしろ強くなるための裸睡眠なんですかね。
「『バック転3回して、逆立ち歩きして、バック転8連発ってどうだ?』
それって、全部で1分くらいしか、かからないんじゃない?
『2人分の食事に入れるんだから、少なくとも10分くらいは引きつけとかなくちゃダメよ。バック転なら、300回くらいしないと。』」(P.409)
「『私にお説教してる時間があるなら、もっとましなの考えれば?早くしないと、みんな、自分の仕事を終えて、まだなのは私たちだけってことになるでしょ。』」(P.414)
上杉君には甘々な反面、17章のアーヤは若武に思いっきり冷たいです。
バク転できるだけでもすごいのに、この仕打ち。
アーヤ、KZメンバーのスーパー中学生ぶりに慣れてきて、なんとも思わなくなってきてるのか。
最終的に10回もバク転する若武。かっけー。
「『がんばったからね。』
え?
『俺の力って、こっちじゃ発揮できないだろ。知り合いが1人もいないからさ。』」(P.752)
黒木君のフランス語力は大いに役立ちましたよ!
黒木君って、自分で自分をがんばったって言うんだなーと、ちょっと意外な一面を見た気がしました。
「『俺だって今回は、自分の出番なんか、てんでないと思ってたもん。たまたま、あったけどさ、偶然だよ。それに体弱いから、ぶっ倒れてて世話になったしさ。』
それで私は初めて、上杉君が、体が弱いということを知ったのだった。
体の弱い子って、健康な子どもより早く大人になるって、聞いたことがある。」(P.753)
体が弱いって、中学生男子としては進んで言いたいことではないだろうし、ふだんの上杉君だったら言わないんじゃないかと思うようなセリフ。
やっぱりみんな、異国の地でいつも通りにいかないことが多くて、少し気が弱くなっていたんだろうなと思います。
完璧じゃないから団結するっていう若武の言葉は、本当にそのとおり。良いこと言うよね。
体の弱い子は早く大人になる、は、「青いダイヤが知っている」にも出てきます。
先生が伝えたいメッセージなのかもしれません。
考えてみたら、女装したり男装したりって、先生の作品には多いですよね。
目的はいろいろだけど、薫とかジルとか、幼少期の光坂くんとか、プリンス(王子裕美)とか。
神坂良子も学園祭かなんかで学ラン着てた記憶があります。
なにも見ずにここまで思い出す自分にちょっとびっくり。
文献(過去のコバルト文庫)調べたいけど、実家に行かないとモノがない・・・
【まとめ】
注目は15章。
上杉君はいつも裸で寝ているらしい。
上杉君が弱(よわ)かわいい。
アーヤが漬物に詳しそう。
若武の身体能力がすごい。
スピード感は「シンデレラ特急は知っている」に軍配。
KZシリーズは麻薬がからむ事件が多い印象ですが、こちらもそう。
【考察】
・「シンデレラ特急は知っている」の続きで、時期は中1の夏休み。
・目をパチパチ:2回
「私は信じられなくて、目をパチパチさせた。」(P.538)
「小塚君は考えこんだ様子で、目をパチパチさせた。」(P.572)
・コクン:3回
「私は、コクンと息をのんだ。」(P.186)
「私は、コクンと息をのんだ。」(P.554)
「私は、コクンと息をのんだ。」(P.619)
・ドアフォン:5回
「若武が、門についていたドアフォンを押しながら言い」(P.321)
「私がそう言っていると、ドアフォンから声が聞こえてきた。」(P.323)
「玄関まで来てるってことは、門のドアフォンは鳴らさなかったってことだ。」(P.385)
「私たちがドアフォンを鳴らした時には、すぐ出てきたのに。」(P.388)
「若武が言ってドアフォンを押すと」(P.452)
そう言えば「消えた自転車は知っている」では「ドアホン」だった。
いつから「ドアフォン」に!?
要調査である。