no KZ no life

講談社青い鳥文庫 KZ事件ノートシリーズを中心とした感想など。

【感想】⑲消えた美少女は知っている

※ねたばれあります。

 

 

KZ事件ノートシリーズ19作目。

 

上杉君って、よく 退団する って騒ぎますよね...

退団するとは言いつつも、そこまで深く悩み抜いているかんじがしないので、この作品はわりと好きです。

前半の 北原美麗はなぜWKを... みたいな謎を追っている時間が長く、後半になって短時間でダダダと解決する流れ。

小塚君が大活躍しています。翼はあんまり出番なし。

上杉君が数学のテストを0点で出した理由もあっさりとした描かれ方だったし、薄味な作品かもしれません。

上杉君が数学で0点だったことに対して、アーヤ以外の人は全然騒いでなかったのも不思議だし。

 

「『上杉は、メンバーの中では1番幅が狭くて尖鋭的だ。』」(P.129)

これって褒めてないですよね、黒木君...

マイルドに言ってるけど、むしろ...

 

「そんな私たちに向かって、上杉君は軽く手を上げる。

 『よ!』

 いつもと変わりのない言い方だった。」(P.501)

上杉君って「よ!」って言うんですね。

意外というか、「よ!」だとすごく愛想と威勢の良いかんじしますけど、「よ」ぐらいなんですよねきっと。

「りょ」みたいなニュアンス。

威勢が良いのは、らしくない...

 

「あわわゎゎゎ・・・。」(P.591)

アーヤの心の叫びですが、うけました。あんまりこういうのないように思って。

 

「『あ、若武には内緒だよ。あいつ、結構めんどくさい奴だからね。』」(P.596)

翼の言葉。

「数学者の夏」でアーヤは上杉君のことをめんどくさいと言っていましたが、若武までもが...

でも上杉君のめんどくささと若武のめんどくささは毛色の違うものであると思う。

 

「退団届の書式を新しく作り、上杉君に渡して書いてもらうことにすれば、会いにいけるし、話もできる。

それで朝、お兄ちゃんのパソコンを借りてエクセルで作成し、プリントアウトしてクリアファイルにはさんだ。」(P.601)

エクセルは表計算ソフトなので...

退団届は、ワードで作ってください...

 

「『立花?』

 いきなりそう言われたから、すごくびっくりした。

 それで、考えていた話の順番がすっかり狂ってしまったんだ。

『何でわかるの。』

 上杉君は、笑みのにじむ声で答える。

『前に、家電で話しただろ。あん時のおまえんちの番号、スマホに移しといたんだ。』

 へぇー。

『この電話、登録番号以外は受け付けない設定だからさ。』」(P.610)

中1当時上杉君の使っているスマホは登録番号以外受け付けない設定のようですが、「数学者の夏」では非通知でかけてきたアーヤの電話とってましたよね~。ニヤニヤ。

 

「胸ポケットに差していたボールペンを引き抜き、カチッと音を立てながら用紙に目を通してすぐに書き出す。」(P.629)

上杉君が退団届にサインするシーンですが、P.636(電子書籍のページ数なので紙の書籍とは相違しています)のイラストのかんじだと、胸ポケットがあるように見えないんですよね...

胸元にワッペン?エンブレム?みたいのがついてるのはわかるんですけど、これがポケットなの...?

 

「『私たちは、その時々で正しいって判断したことをしていくしかないんだもの。その正しさが、たとえ永遠じゃなかったとしても、しかたないよ。間違いに気づいたら、その時やり直すしかない。過去でも、終わったことでも、もう1度トライすればいいよ。』」(P.663)

KZだけでなく藤本ひとみ先生作品を読んでいて感じるのが、人生はどこからでもやり直せるというメッセージです。

傷ついたり失敗したりしてもそれには意味や価値があって、それを糧に、または乗り越えて生きていってほしい と先生は強く思っていて、未来ある人たちに伝えようとしているのだなと強く感じます。

 

「黒木君が電話をかけてきて、

『今週の土曜日、石代市で、うちの支部と石代支部が対抗模擬試験を行うことになっているんですが、うちサイドに1名病欠が出たんです。担当講師が、国語の成績のいい子を探しているので、彩さんを推薦してもいいですか。』」(P.918)

アーヤママって、黒木君に簡単に懐柔されすぎですよね...

裏も取らないし、大丈夫なのか?

 

「黒木君が、肩から吊っている革帯からタブレットを抜き出し、そこに石代高原の住宅地図を呼び出した。」(P.974)

「黒木君は上着の前ボタンを開け、脇の下に吊っていたタブレットを出した。」(P.1141)

鈴影さんを思い出します。

脇の下にタブレットを吊る って、スマホなんですよね?

まさか脇の下にiPad吊ってるわけじゃないですよね?邪魔ですもんね?

 

「『小塚、おまえ、今、俺の髪、抜いただろっ!?』

 小塚君は、ぷるっと首を横に振り、知らんぷりを決めこむ。」(P.999)

黙って上杉君の髪を抜く小塚君にうける。

断って抜けば良いのに、黙って抜いて、しかも知らんぷり。うける。

 

「『前に自分が見た問題を初めてのふりして、点数稼ぎたくねーよ。まじめにやってる連中が、かわいそうだろ。テストの成績は、俺たちにとって生存競争みたいなものなんだ。マジで、必死に取り組むべきだろ。』

 そう言いながら親指を伸ばし、その先で美麗の涙を拭いた。」

親指で女子の涙を拭く上杉君!中1!なんかキャラちがう!

 

「上杉君が何も言おうとしなかったのは、北原さんをかばってたからなんだね。

 だからどんなに疑われても、黙り通してたんだ。

 すごい、カッコいい男の子だよね、上杉君は!」(P.1254)

今回に限らずですが、そういう理由があきらかになれば かっこいい! ってことになりますが、わからなければ 単なるめんどくさいやつ ひねくれてるやつ ってなっちゃいます。

そしてこれはフィクションなので理由は必ずあきらかになりますが、現実はほとんどの場合理由など他人には知れません。

上杉君、よかったね!小説の中の住人で!

退団する とか何回も騒ぐところもめんどくさいと言われる所以だと思います。

 

【考察】

 

・季節は秋。

「窓辺のカウンターに置かれているテレビには、秋の高原を背景に、マイクを握ったレポーターが映っていた。

(中略)

『いいわねぇ、石代高原。ねぇパパ、今度の連休にどう?』」(P.35)

秋の連休っていうと、体育の日のあたりかなあ。出版されたのも10月だし。

ってことで、10月の上旬あたりを予想。

 

・小塚君は太め。

「理科と社会が得意で穏やかな性格、ちょっぴり太めの小塚和彦君。」(P.44)

 

・目をパチパチ:1回

「若武は呆気にとられたらしく、小雀みたいに目をパチパチさせる。」(P.833)

 

・コクン:7回

「私は、コクンと息を呑んだ。」(P.110)

「私は、コクンと喉を鳴らす。」(P.271)

「私は、コクンと息を呑んだ。」(P.500)

「私は、コクンと喉を鳴らす。」(P.678)

「私は、コクンと息を呑んだ。」(P.757)

「私は、コクンと息を吞んだ。」(P.1163)

「私は、コクンと息を吞んだ。」(P.1213)

こ って入力すると予測変換で「コクンと息を吞んだ。」って出てくるようになりましたよ...

 

・ヒュッと口笛:2回

「若武がヒュッと口笛を吹いた。」(P.262)

「黒木君が、ヒュゥ~ッと尻上がりの口笛を吹き、若武がニヤニヤ笑い、小塚君はちょっと赤くなった。」(P.958)

 

・「おまえねぇ」:1回

「『上杉、おまえねえ、もし今ここに若武がいて、そのセリフ聞いたら、どうなったかわかるか。』」(P.525)

翼のセリフです。